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岩城 由加子

今回の作品テーマはなんですか?

作品タイトル「ジーンから吹く風」は、”記憶や遺伝子の中にある宇宙”がテーマです。

渡り鳥が毎年決まった時期にやってくるように、人の中にも古い記憶がある。その記憶から吹く風が、私に行動させてくれるという思いを絵画に込めました。

もう一つの作品「朝の扉を開ける少年」は、”この世界で重要な役割を果たしているのに誰にも知られていない存在”をテーマに描きました。例えば、(この世界の朝は、誰かが扉の開け閉めを忘れないからやってくる)というような思いつきをこの絵には描いています。


ここ最近で影響を受けた作品、アーティスト、媒体などはありますか?

クリス・ヴァン・オールズバーグの描く、白黒の世界が好きで、最近は木炭と鉛筆のデッサンをもとに油絵を描いています。

「ハリス・バーディックの謎」という絵本を子供の時読んで、不思議な情景にそのまま入り込んでしまうようなリアルな描写と、光と影の魔法のような表現にわくわくしたことを覚えています。


今回の作品テーマが決まったきっかけはありますか?

「ジーンから吹く風」のテーマは、京都の点の展の仲間と会って、絵を描くことと自分と向き合ったときに、一度止まった風がもう一度吹いてきたような感覚が生まれて、その時のことを作品に込めました。

「朝の扉を開ける少年」は、美術の本で古代の洞窟壁画を見たときに、この世界で最初に絵を描いたのはどんな人だろうと考えた、その時の不思議が発想のもとになっています。


今回の作品制作で苦労した事、工夫したことはなんですか?

写実的な描写に向いている油絵という表現で、空想の世界を描くのに、今までは実際のモチーフと空想を組み合わせていたのですが、木炭のグレートーンに助けられて下絵を描くと想像を形にしやすいことがわかり、今回制作に取り入れました。

自然の色彩を取り入れて絵画を作ろうと思い、小型の作品は、ネズミモチの葉を灰にして絵の具に混ぜたもので描いています。


作品の見どころを教えてください!

ネズミモチの木の葉灰で作った絵の具による、ざらざらした絵肌に注目してみてください。

少年が何をしようとしていて、どんな物語があるのかぜひ想像してみてください。


今回の制作を通して、次回挑戦してみたい表現、ジャンルは?

白黒のデッサンからアイデアを練る、物語のある油絵作品シリーズを描きたいです。


最後に一言ひとこと

この作品展が、運んできてくれるものが何なのかわくわくしています!

こうしてまた展示ができるのがとても幸せなことだと思っています。


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